は現世に在りて只《たゞ》太陽を讚《さん》するのみ、顧れば甲武の山の若紫を焼いて、山肩|茜色《せんしよく》の暗潮一味を刷《は》く。
下りて七合目に至る、霜髪の翁《おきな》、剛力の肩をも借らず、杖つきて下山するに追ひつく、郷貫《きやうくわん》を質《たゞ》せば関西の人なりといふ、年歯《ねんし》を問へば、即《すなは》ち対《こた》へて曰《いは》く、当年八十四歳になります!
底本:「日本の名随筆58 月」作品社
1987(昭和62)年8月25日第1刷発行
底本の親本:「小島烏水全集 第四巻」大修館書店
1980(昭和55)年3月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※「劒ヶ峰/剣ヶ峰」の混在は底本の通りです。
入力:土屋隆
校正:門田裕志
2006年9月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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