が、白から淡黄に至り、殆ど淡紅|暈《うん》を帯びることがないが、有毛のものは、紅暈を帯びる、近来無毛のものを、ウスキシャクナゲと称し、有毛の方を、シロシャクナゲと呼んで、これを一変種と認めるが、総称する場合には、ハクサンシャクナゲと呼ぶのが、適当と考えられると(『高山植物写真図聚』解説参照)。
八 室
御中道歩きの特色は、山頂を見あげると共に、山麓を見下すのにある、それが、ブン廻しのように刻々変化してゆくのを、互い違いに併せ視《み》られるところにある。その山頂にしても、素焼の山の膚に、つや薬でも流したような、崩雪《なだれ》や岩崩れの跡が、切り刻みをつけている。小御岳から、大沢へゆく間にも、「小御岳流れ」「大流れ」「白草流れ」が押しだして、大森林の一部分をブッ欠き、日当りのいい窓を明けて、欠け間から裾野にかけて、山麓の斜面を見せる。それがまた驚くべく長大なる、最新の熔岩流をひろげて、下吉田の町まで肉薄する剣丸尾《けんまるび》、青木ヶ原の樹海から精進《しょうじ》村まで、末広がりに扉開きになる青木ヶ原丸尾を、眼下に展開する。殊に青木原一帯の丸尾(先人の説によれば「転《まろ》び」
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