白峰山脈縦断記
小島烏水

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)白峰《しらね》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)七月下旬|高頭式《たかとうしょく》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「にんべん+就」、第3水準1−14−40]
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    緒言

 前年雨のために失敗した白峰《しらね》山登りを、再びするために、今年(四十一年)は七月下旬|高頭式《たかとうしょく》、田村政七両氏と共に鰍沢《かじかざわ》へ入った、宿屋は粉屋であった、夕飯の終るころ、向い合った室から、一人の青年が入って来た、私たちが、先刻から頻《しきり》に白峰、白峰と話すのを聞いて、もしやそれかと思って、宿帳で、姓名を見てそれと知った、というので同行を申し込まれたのである、大阪高等工業学校の生徒、倉橋藤次郎氏である、一人でも同行者を増した心強さは、言うまでもない。
 翌朝例の通り、人夫を※[#「にんべん+就」、第3水準1−14−40]《やと》って、西山峠を越えた、妙法
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