が、年々の夏、何千人または何万人となく入り込むのは、この国が日本において、二つとない大自然の誇を有しているためではあるまいか、殊に上高地渓谷は、日本アルプス中に深く蔵せられた珠玉ではあるまいか、私は座《いな》がらその残賊を視るに忍びないので、かくは旅窓に一文を草したのは、この峡谷の森林を管轄する位置に立てる当局者と、森林の興亡を念とせらるる国人に向って、偏《ひとえ》に完然なる保護を乞いたいからである。
底本:「山岳紀行文集 日本アルプス」岩波文庫、岩波書店
1992(平成4)年7月16日第1版発行
1994(平成6)年5月16日第5刷発行
底本の親本:「小島烏水全集」全14巻、大修館書店
1979(昭和54)年9月〜1987(昭和62)年9月
入力:大野晋
校正:地田尚
1999年11月25日公開
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