や低い山で、割合に有名なのは、日光と上州草津に白根山(日光二二八六米突、草津二一四二米突)という同名のが二つある。これを外国に見ると、全世界の大山脈を代表するほどに有名なる欧洲アルプスは、前章にも述べた通り、「白き高山」ということで、アルプス山中の最高峰モン・ブラン(Mont Blanc 四八一一米突)は正に白山という義である。その他|亜細亜《アジア》大陸のヒマラヤ大山脈中にも似寄った意義の山名は少なからず発見せられる。即ち「世界の屋根」と呼ばれるヒマラヤ山は、最高峰エヴェレスト Everest は、海抜三万尺の高さに達しているが、ヒマラヤは梵語《ぼんご》「雪あるところ」という意義であるそうで、そこから「雪山」という漢訳語も、起因しているのである。また先年本邦に立寄られた大探検家スエン・ヘディン氏(Sven Hedin)の講演によれば、パミール第一の高山七千八百米突のムスタアグ・アー夕山は、土耳古《トルコ》語で「氷雪白き山岳の父」という意味だそうである、同氏はトランス・ヒマラヤを越えて、西方へ行き、ダングラユムツオ Dangrayumtsuo なる湖水の側《かたわ》らに、タルゴ・ガング
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