のであります。ところで、ここには、否定[#「否定」に傍点]を表わす「不」という語が六つあります。いわゆる「六不」ですが、しかしこれはあながち六不に局《かぎ》ったことではなく、いくつ「不」があってもよいわけです。八不[#「八不」に傍点]、十不[#「十不」に傍点]、十二不[#「十二不」に傍点]という語が、お経に出ておりますが、いま『心経』は、この「六不」によって、一切の「不[#「不」に傍点]」を代表させているのであります。で、結局は不の一字[#「不の一字」は太字]さえわかれば、一つの「不」で結構なのであります。いま試みに不生、不滅という語をとって考えてみましょう。さてこの不生[#「不生」に傍点]、不滅[#「不滅」に傍点]という語を、もう一度他の語で申せば、「生滅を滅し已《おわ》る」すなわち「生滅|滅已《めつい》」ということです。あの「いろは歌」でいえば、「うゐのおくやまけふ越えて[#「うゐのおくやまけふ越えて」は太字]」という句に当たるのです。うゐのおくやまを越える、ということは、つまり生死《しょうじ》に囚われる迷いの心を、解脱するということです。しかもそれが不生不滅[#「不生不滅」に傍点
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