俳句|三昧《ざんまい》に送ったといわれています。その瓢水翁が、ある年の暮れ、風邪《かぜ》をひいてひき籠《こも》っていたことがありました。折りふし一人の雲水《うんすい》、彼の高風を慕って、一日その茅屋《あばらや》を訪れたのですが、あいにく、薬をとりに行くところだったので、「しばらく待っていてくだされ」といい残しつつ、待たせておいて、自分は一走り薬屋へ用たしに行きました。後に残された件《くだん》の雲水、
「瓢水は生命《いのち》の惜しくない人間だと聞いていたが、案外な男だった」
 といい捨てて、そのまま立ち去ってしまったのです。帰ってこの話を近所のものから聞いた瓢水、
「まだそんなに遠くは行くまい、どうかこれを渡してくだされ」
 といいつつ、一枚の短冊《たんざく》に、さらさらと書き認《したた》めたのは、

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浜までは|海女[#「浜までは|海女」は太字]《あま》も|簑[#「も|簑」は太字]《みの》きる|時雨[#「きる|時雨」は太字]《しぐれ》かな[#「かな」は太字]
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 という一句だったのです。
 これを受け取った件《くだん》の雲水、非常にわが身
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