く候」は太字]」というのは、なにも独り仏法にのみ限ったことではないのです。でき得べくんば、私どもが人生の書物を書く場合にも、この心持で、なるべく誤植のないように、後から訂正をしなくてもすむように、書いてゆきたいものです。少なくとも「汗」と「膏《あぶら》」の労働によって、勤労によって、一ページずつを、毎日元気に、朗らかな気持で、書いてゆきたいものです。まことに人生のほんとうの喜び楽しみは、断じて、あくことなき所有慾や物質慾によって充《み》たされるものではありません。人生創造の愉快な進軍ラッパ[#「人生創造の愉快な進軍ラッパ」は太字]は、放縦《ほうじゅう》なる享楽の生活に打ち勝って、地味な、真面目《まじめ》な「勤労」に従事することによってのみ、高く、そして勇ましく、吹き鳴らされるのではありませんか。
 おもうに、人生を「橋渡り」に、あるいは「一巻の書物」に譬《たと》えることも、きわめて巧みな譬喩《ひゆ》ではありますが、結局、なんといっても私ども人間の一生は旅行です[#「人間の一生は旅行です」は太字]。生まれ落ちてから、死ぬまでの一生は、一つの旅路です。しかし、その旅は、「名物をくうが無筆の
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