さまの御歌に、

[#ここから2字下げ]
髪かたちつくろうたびにまず思えおのが心のすがたいかにと
[#ここで字下げ終わり]

 というのがあります。鏡に向かって化粧する。その時、顔や容姿《かたち》の化粧《たしなみ》をするたびに、必ず心の化粧もしてほしいのです。真の化粧とは、心の化粧です。顔や肌の素地《きじ》は天性《うまれつき》だから、どんなに磨いたところで、しれていますが、しかし心の化粧は、すればするほど美しくなるのです。老若男女を選ばず、磨けばみがくほど、いよいよその光沢《つや》が出てきます。「金剛石《こんごうせき》も磨かずば」で、実をいうと私どもは互いにその金剛石《ダイヤモンド》を一つずつ所有しているのです。しかし肝腎の私たちはそれを知らないでいるのです。だから化粧はおろか、その存在すら忘れているのですから、光るに光れないわけで、まことにもったいないわけです。
 心は鏡[#「心は鏡」は太字] その昔、支那《しな》に神秀《じんしゅう》という有名な坊さんがありました。彼は禅のさとりについて、こういっています。
「身は是れ菩提樹《ぼだいじゅ》、心は明鏡台《めいけいだい》の如し。時々に勤め
前へ 次へ
全262ページ中216ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
高神 覚昇 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング