のものや、卑しいものは、一つもない。
すべてのものは、適所におかれたならば、最上のものとなり、
ほとんど無用のごとく見えるものでも、
他のものに力を与えるとともに、その支《ささ》えともなる。
私たちの建築に供給するために、時の中には、材料がいっぱいになっている。
私たちのもつ今日や明日は、
私たちの建築の有力な材料である。
[#ここで字下げ終わり]

 と。たしかに味わうべき言葉だと思います。
 平凡な一日と貴重な一日[#「平凡な一日と貴重な一日」は太字] 今日や明日という日は、それこそなんでもない平凡な一日[#「平凡な一日」に傍点]です。しかし、その平凡な一日[#「平凡な一日」に傍点]が集まって、私どもの人生を作っているのです。したがって、つまらぬどころか、後《あと》にも先にもない貴い一日[#「貴い一日」に傍点]です。昨日を背負い、明日を孕《はら》める、尊い永遠の一日です。結局、一日をつまらぬ一日にするか、貴い一日にするか、それはつまり私どもお互いの心持です。心のもち方です。ものそのもの[#「ものそのもの」に傍点]が、つまらぬのではなくて、それを見る、それを受けとる智慧袋が小さいわけ
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