ですが、しかしそこにはチャンと一つの深い「自覚」をもっているのです。自覚なきがごとくにして、しかも自覚している。この眉毛の態度こそ、まさしくそれは、因縁に随順しつつ[#「因縁に随順しつつ」に傍点]、無我に生きる生活です[#「無我に生きる生活です」は太字]。そこには万人の味わうべき何ものかがあると存じます。「一|隅《ぐう》を照らすものを国宝となす」と伝教大師はいっていますが、この国宝こそ、今日最も要求されているのです。
「聡明叡智《そうめいえいち》、之《これ》を守るに愚を以てす」
 と古人もいっております。成功の|秘訣[#「成功の|秘訣」は太字]《ひけつ》は、「運」、「鈍」、「根」の三つだと、いわれていますが、この「鈍」、この「愚」が、現代人には特に必要かと思います。「大賢は大愚に近し」ともいいます。眼から鼻へぬける鋭さ、賢さも、もちろん必要でしょう。だが、そこにはぜひとも「愚」がほしいのです、「鈍」が必要です。もしもこれが欠けていると、小ざかしい口達者な小利口ものになるわけです。有名な電気王エジソンはいっています。「天才とは九分九厘が汗《パースピレーション》、一分だけが霊感《インスピレ
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