音までが同情の交流になるのである。
寒地である諏訪は、天然物が豊かでない上に、旧藩時代には誅求が可なり酷かつた。そのため、昔より人民に勤勉と質素と忍耐の習慣を造りあげた。信濃人は勤勉であると言はれてゐるが、その中で、諏訪人は殊に秀でて勤勉である。この習慣が今の生糸や寒心太《かんてん》の産業を生み且つ発達させた。私の住んでゐる寒村の人々が、厳冬の湖上に於て、昼夜となく働いてゐるといふことは、その諏訪人の気風の片鱗である。
底本:「心にふるさとがある3 川に遊び 湖をめぐる」作品社
1998(平成10)年4月25日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:浦山敦子
校正:noriko saito
2006年11月13日作成
青空文庫作成ファイル:
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