暴風雨の夜
小酒井不木
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)酣《たけなわ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)その時|暴風雨《あらし》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符二つ、1−8−75]
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[#7字下げ]一[#「一」は中見出し]
秋も酣《たけなわ》なる十一月下旬のある夜、××楼の二階で、「怪談会」の例会が開かれた。会員は男女五人ずつ併せて十人、百物語の故事にならって、百という数の十分の一に相当する十人が毎月一回寄合っての怪談会である。
今夜はF君が、最近手に入れたという柳糸堂《りゅうしどう》の「拾遺御伽婢子《しゅういおとぎぼうこ》」の原本を持って来て、面白そうな物語を片っ端から読みあげたが、そのうち、「逢怪邪淫戒《ほうかいじゃいんかい》」と題する一篇から、はからずも、話に花が咲いたのであった。物語の筋は、喜平次という男が他行《たぎょう》すると、野中で俄《にわか》に日が暮れる。はるか前方に人家の灯影が見えたので
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