?」
と言いました。
「俊夫君の案内役さ」
「や、俊夫君、ご苦労様」
と、白井刑事は俊夫君を軽蔑するような口調で言いました。
「お嬢さんの依頼でお邪魔しています。時に解剖の結果どうでしたか」
俊夫君は尋ねました。
「死因は絞殺だそうだ」
「そりゃはじめから分かっていますよ」
と俊夫君は笑って斎藤の方を向いた。
「斎藤さん、先生はゆうべたいへん機嫌が悪かったそうですね?」
「たいへん悪かったですよ」
「一時頃に信清さんを呼びにいったのはあなたですか」
「僕です」
「先生は信清さんと喧嘩されましたか?」
「何だか言い合っていられました。僕は先へ寝ましたからよく知りません」
「今朝《けさ》先生の死んでいられることを見つけたのは誰ですか?」
「婆やです」
「婆やはどうしました?」
このとき令嬢が口を出して、婆やは博士の死に驚いて気分が悪くなり、いま奥で休んでいると告げました。
「兄さんちょっと来てくれ、お使いに行ってもらいたいから」
こう言って、俊夫君は意味ありげに眼くばせして、室《へや》を出てゆきましたので、私はその後からついて出ました。
玄関のところへ来ると、俊夫君は小声にな
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