変な恋
小酒井不木

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)例《ため》し

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)けいずかい[#「けいずかい」に傍点]であった
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 変な人間が恋をすると、変な結末に終り易い。しかしたとい変な人間の恋といえども、恋そのものは決して変ではなく、変でない人の恋と同じであるけれども、結末が変であれば、まあ「変な恋」といってもよいであろう。
 アメリカ合衆国にニューヨークという所がある。こういうと読者は人を馬鹿にするなといわれるかも知れぬが、ロンドンという町がカナダにもあるから、間ちがいのないように一寸ことわっただけである。さて、そのニューヨークというところには、ずいぶん変な人間が沢山住んでいて、かなりに変な職業を営んで暮している。例えば他人の持っている金を口先一つで自分のものにするというような人間が沢山居るのである。そういう人間は今に限らず、むかしから、ニューヨークが主要産地であったそうで、従ってニューヨークでは変な人間によって、変な恋の行われた例《ため》しは決してこれまで少くはなかったのである。で、私はそのう
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