を経ました。すると後妻は右の眼がかすんでよく物が見えなくなったといい出しました。私は早速眼科医に見て貰うようにすすめましたが、後妻は大の△△教信者でして、御祈りして貰えばなおるといって、医者へは行かずに近所にあった△△教支部に通うたのでした。然し眼はだんだん見えなくなるばかりでしたから、私はしきりに医師をたずねるように主張しましたが、後妻も中々頑固なところがあって、かえって意地になって反対しました。
ある日、後妻が△△教支部から帰って、私に向って申しますには、神様にうかがって貰ったところ、自分の眼病は先妻の祟りで三毛に先妻の死霊がのりうつっているから、三毛のいる間は眼病は治らぬ、それゆえ、これからは三毛のいなくなる御祈りをしてやるとのことだったと告げるのでありました。私はそんなことが果して出来るかどうかを内心|大《おおい》に疑っておりました。
ところが、不思議にも、それから間もなく三毛がいなくなったのであります。十日経ち二十日経っても帰って来ませんでした。後妻はこれを知って大に喜び、いよいよ神様の不思議な力を信じ、自分の眼病も遠からずなおることと楽観しておりました。
ところが眼病
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