痴人の復讐
小酒井不木

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)若《も》し

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)検査|致《いた》しました

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)かっ[#「かっ」に傍点]と

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぽつり/\
−−

 異常な怪奇と戦慄とを求めるために組織された「殺人倶楽部」の例会で、今夕は主として、「殺人方法」が話題となった。
 会員は男子十三人。名は「殺人倶楽部」でも、殺人を実行するのではなくて、殺人に関する自分の経験(若《も》しあれば)を話したり、センセーショナルな殺人事件に関する意見を交換したりするのが、この倶楽部の主なる目的である。
「絶対に処罰されない殺人の最も理想的な方法は何でしょうか?」と会員Aが言うと、
「それは殺そうと思う人間に自殺させることだと思います」と会員Bは即座に答えた。
「然《しか》し、自殺するような事情を作ることは非常に困難でしょう」とA。
「困難ですけれど、何事に依らず腕次第だと思います」とB。
「そうです、そ
次へ
全15ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小酒井 不木 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング