あります。
次になお不快な現象と見るべきものは、黴菌《ばいきん》のために起る化膿です。然し、注意して器具を消毒し、所謂無菌的に手術を行えば、家兎の血液は黴菌を殺す力が比較的強いために、化膿を避けることが出来ますが、何といっても化膿を防ぐに最も大切なことは、手術を手早く行うことです。化膿ばかりでなく、その他の凡ての不快な現象を除くためにも、手術を出来|得《う》る限り短い時間で行うということが最も大切な条件であります。幸に私は、数多き家兎を犠牲にしたために、後には僅《わず》かに十分間で全手術を行い得《う》るようになりました。胸廓を切り開いて人工心臓を取りつけ、再び胸廓を塞ぐだけの手術ではありますが、それを十分で行い得たことに就ては、聊《いささ》か得意を感じました。申すまでもなく、人工心臓だけは、胸廓の外に出て居《お》ります。胸廓の中へ収めることが出来ればそれに越したことはありませんが、前に申上げたとおりの装置では、到底それを望むことが出来ません。あなたは定めし、鋼鉄製の心臓のことであるから、時々油をささねばならぬと御考えであるかも知れませんが、幸いに血液の中には多少の脂肪が含まれて居《お
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