共に鋼鉄に致しました。そうして鋼鉄の方が、ガラスよりも、人工心臓には適当であるということを経験致しました。
さてこれから喞筒《ポンプ》の構造について御話しなければなりませんが、その前に人工肺臓の原理について申し上げます。原理と申しましても頗る簡単でして、上下の大静脈から来た静脈血の炭酸瓦斯を除き去り、その代りに酸素を与えて大動脈に送りこめばよい訳です。然し、酸素を与えることは、酸素管に連結するだけでよろしいですが、炭酸を除くことは可なり厄介でした。その厄介な点は炭酸を除くことそのことにあるのではなくて、炭酸を一時に大量に除くことなのです。静脈血を一定の容器に受取り、その容器に適当な装置を設けて、強い陰圧を生ぜしめて置けば一部分の炭酸は除けますが、早く流れて行く血液の炭酸全量を除くことは至極困難です。そこで私は色々考えた結果、全身を流れて来る静脈血の炭酸量を少くしたならば、この困難は打ち破ることが出来るかと思いました。それには酸素を多量に含んだ血液を、通常よりも早く循環せしめればよいから、活栓の働きの度数を心臓の搏動|数《みゃく》の三倍、四倍にすれば足ると思い、試みて見ましたところが、
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