んで、希望に輝く眼をもって、にっこり顔を見合せるとき、私たちは、いつも、測り知れぬ喜びに浸りました。実験が思わしく進まぬとき、屡《しばし》ば私は徹夜して気むずかしい顔をしながら働きましたが、そのようなとき妻もまた徹夜して、どこまでも私の気を引き立てるようにつとめて呉れました。幾度も失敗に失敗を重ね、殆んど絶望の淵に沈もうとしたとき、私を救い、力づけて呉れたのは妻でした。妻が居なかったならば、到底人工心臓の発明を完成することは出来なかったでしょう。その妻も今ははや死んで居《お》りません。そうしてその妻の死によって、私は折角完成した発明を捨ててしまわなければならなくなりました。何という不思議な運命でしょう。私はその当時の苦しかったこと、楽しかったことを思うと、今でも胸の高鳴るのを覚えます。
いや、思わずも話が傍道《わきみち》に入りましたが、さて、人工心臓の発明にとりかかって見ますと、学生時代に想像したほど、その完成は容易なものではないということがわかりました。そうして私は、恐らく、これ迄、人工心臓の発明を思い立った人はあっても、それを実現することが出来なかったために、文献にも何等の記載が
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