はなるべく目立たぬ工夫をするでしょうから、けっしてその方の手配りを急ぐ必要はありません。それよりも美容術師を訪ねた方がきっと効果があると思います」
こう言って俊夫君は、私たち二人を促し、春日町二丁目に向かって進みました。
第三回
一
春日町一丁目の空家を出た三人――小田刑事と俊夫君と私――は、間もなく、二丁目の美容術師近藤つね方を訪ねました。
「近藤美容院」とガラスに金文字を浮かせたドアを開けて私たちを出迎えたのは、主人の近藤つね女史でありました。さすがに美容術師であるだけに、非常に美しい容貌で、まだ三十歳になるかならぬのように見えました。ただ、その頬に血の気の失せているのは昨夜《ゆうべ》の事件のためであると想像されました。
俊夫君が簡単に来意をつげると、女史はすぐ私たちを、綺麗な待合室へ案内してくれました。
それから、私たちは、あついお茶の御馳走になりました。俊夫君が午前三時十分頃に電話をかけたときに、まだ麻酔剤のために人事不省《じんじふせい》だった女弟子も、もうこの時には普通の人になって、お菓子などを運んで出ました。けれども私たちは、もとよりゆっくり腰
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