しまいには一種の法悦を感ずるくらいでありますから、箕島《みのしま》、仙波《せんば》、京山《きょうやま》の三人が、共謀して、宝石専門の盗賊となったのも、あながち酒色に費す金がほしいばかりでなかったのであります。しかし、どうして三人が一しょになって仕事をする様になったか、また、三人がどういう生い立ちの者であるかというようなことは、この物語とは関係のないことですから、申し上げません。とにかく、三人は宝石に対する趣味を同じくして、他人の秘蔵している宝石を盗んだのですが、いつも一定の時日愛翫すると、それを売り払って、金にかえ、しばらくの間にその金を費い果してしまうのでした。
して見ると彼等三人の宝石に対する趣味は、純なものだとはいわれません。それのみならず、彼等は、宝石を奪うためには、他人を傷つけたり、殺したりすることさえ敢《あえ》てしましたから、いわば彼等の趣味は悪趣味というべきものでした。
こうした悪趣味は、そんなに長い間、青天白日の下で栄えるものではありませんが、不思議にも警察は、久しくその悪趣味を除くことに成功せず、実をいうと、彼等三人が、何処に住《すま》って、どんな容貌をしているか
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