取って、
「ど、どうしてこれが……」
「レントゲン検査に行ったのは、これを取りかえすためだったのです」
と、俊夫君は説明しました。
「ああしなければ竹内を連れだすことができません。僕は岡島先生の家から一足先に帰りおばさんに会って、朝飯を食うふりをして土瓶の中の本物をただのお茶にすりかえておいたのです。それから本物を別の罎《びん》にうつして、浅草の山本実験所へ持っていって還元してもらい、四時に警視庁から取りにいったんです。
先刻、盗賊の親分はあの土瓶にただのお茶が入っていたので、竹内がすりかえたものと思って、怒って投げつけたのですよ。……さあ早く帰って、おばさんを喜ばせてあげましょう」
底本:「小酒井不木探偵小説選 〔論創ミステリ叢書8〕」論創社
2004(平成16)年7月25日初版第1刷発行
初出:「子供の科学 二巻三〜五号」
1925(大正14)年3〜5月号
入力:川山隆
校正:伊藤時也
2006年11月14日作成
青空文庫作成ファイル:
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