に妊娠したのではないかと思って、心配が日に日に増していきましたが、とうとうわたしの心配が現実となって現れました。
ある日わたしが鏡に向かって膨らんだお腹をよく見ますと、皮膚の下にかすかに蛇のうねりが見えるではありませんか。いよいよメデューサの首がお腹に宿ったのだ! こう思うとわたしは気が違うかと思うほどびっくりしました。それからというもの、来る日も来る日も、わたしがいかに苦しい思いをしたかは先生にもお察しがつくだろうと思います。わたしはだんだん痩せました。肩から胸へかけての美しい曲線は見苦しく変化しました。メデューサの首のために、わたしの恋人すなわちわたしの身体が破壊されるかと思うと、どうにも我慢ができなくなって、ついにこうして先生のもとにお伺いしたわけでございます。先生、これでもまだ、先生はわたしがメデューサの首を孕んだのではないとおっしゃいますか」
わたしはこの話を聞いて、なんと答えてよいか迷いました。わたしはもはや彼女に反抗する勇気がなくなってしまいました。
「それについて、先生にお願いがあるのです」
と、彼女はいっそう力を込めて語りつづけました。
「わたしは今日までどうに
前へ
次へ
全26ページ中18ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小酒井 不木 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング