「二銭銅貨」を読む
小酒井不木

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)地下鉄《サブウェー》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)それ故|覚束《おぼつか》ない

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)八字ずつ[#「八字ずつ」に傍点]飛ばして
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「二銭銅貨」の原稿を一読して一唱三嘆――いや、誰も傍にはいなかったから一唱一嘆だったが――早速、「近頃にない面白い探偵小説でした」と森下さんに書き送ったら「それに就ての感想」を書かないかとの、きつい言い付け。文芸批評と自分の法名ばかりは、臍の緒切ってからまだ書いたことが御座りませぬからと一応御断りしようと思ったところ、オルチー夫人のサー・パーシー・ブレークネーではないが、持って生れた悪戯気分がむらむらと頭を持ち上げて、大胆にもこうして御茶を濁すことになったのである。誠に仏国革命政府の眼をくらまして、貴族を盗み出す以上に冒険な仕事であるがせめて地下鉄《サブウェー》・サムの「新弟子」位の腕にあやかりたいと思ってはみても、いや、それはやっぱり強欲というもの。
 三度の飯を四度食べても、
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