して解決しようとしたのである。そうして、バーンスは、更に次のように書いている。
「犯罪の行われた場所は九月二十五日即ち殺害の満二ヶ月後にロッス夫人の小さな子供たちによって発見された。即ち彼等が森へ遊びに行くと、奥の叢林の中に白の下袴《ペチーコート》と絹のスカーフとパラソルとM・Rというイニシアルのついた麻の手巾《ハンカチーフ》とを発見したのである。その附近の土地は踏み荒され、雑草の幹は折られ、はげしい格闘の跡が認められた。そうしてその叢林の中から、ちょうど死体を引摺ったような跡が一本河の方に向ってついていたが、やがて森の中で消えていた。そうして、それらの遺留品はすべて、メリーのものであると判別された」
 このことは、トリビューン紙には一語も記されていない。なお又、メリーの婚約者であるペインが彼女の死に遭遇して悲歎のあまり自殺したということも載ってはいない。しかしポオはこれらのことを既に読者の知らるる如く物語の中に引用しているのである。そうして、バーンスのこの記述は、残念ながら、その出所が明かにされていないばかりか、何だかポオの物語が多少影響しているようにも思われる。しかしポオの物語が悉
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