、事ある毎に非番でも呼出されて終日終夜、悪く言はれながら命がけで働らく巡査ほど憐れ者は無いのです。
 無智無教育の労働者よりも、智識教育ある労働者は、其苦痛と不平も一層甚しかるべき筈です、我は将来巡査と小学教師中に、多数の社会主義者を出すことを確信します。
 平民新聞其他日本社会主義者の言論が、外国へ反響すると言て、御用紙が神経を痛めるのは滑稽です、先日も「国民新聞」が喧しく言て居ましたが、又々「日々新聞」が鹿爪らしいことを書て居ます。
 日本の政治家と資本家は、日本の正義人道とやらを外国に紹介する筈で、大枚の金を使つて末松君を洋行させ、金子君を洋行させ、外国記者を御馳走し、今度は各宗僧までも集めて「中外に宣揚した」ではないか、是迄にしたら外国でも嘸や彼等の「正義人道」に感服仕つて居るでしやうから、微々たる平民新聞の論説位ひを気にするにも及ばぬ筈です。

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(二十五号、二十六号、二十七号、二十八号、二十九号、明治三十七年五月一日、八日、十五日、二十二日、二十九日、署名一〜三は一記者、四〜五は編輯子)
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底本:「日本の名随筆 別巻95 
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