度をおおよそ三時間に一回転としてテストをやってみた。結果はきわめて良好だった。
×月×日
おれはまたプランに一つの改良を加えた。最初の考えではおれはSと二人きりで研究室であおうと思っていた。しかし、二人きりではおれがあるいはSを突落したのではないかという疑いをうけるおそれがある。外部に目撃者をおくとすると、研究室の回転を見破られるおそれがある。そのうえおれは夜あたりにだれもいないとき、かつ窓から外のものがみえないときを選ばなければならぬから、目撃者を外におくわけにはいかない。そこでおれは目撃者を内部におくことにした。この方法は目的どおりSが墜落してから、研究室の移動をさとらしめないことに骨が折れる。しかし、人は異常な出来事のさいには狼狽するものだから、このときには、急激に研究室を原状にもどしても気づかれはしないだろう。
×月×日
とうとう成功した。おれはSをよんでつとめて歓待した。Sは哀れにもいまに死ぬことを知らないで、あいかわらず皮肉をまじえておれを揶揄しながら談笑した。おれはおかしさをかみこらえて、彼に毒蜘蛛の恐るべきことと、最近一匹が逃げだしていまに行方のしれないことを話
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