青服の男
甲賀三郎
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)二昔《ふたむかし》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)茅《ち》ヶ|崎《さき》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)遺族[#「遺族」は底本では「遣族」]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ポツン/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
奇怪な死人
別荘――といっても、二昔《ふたむかし》も以前《まえ》に建てられて、近頃では余り人が住んだらしくない、古めかしい家の中から、一人の百姓女が毬《まり》のように飛出して来た。
「た、大へんだア、旦那さまがオッ死《ち》んでるだア」
之《これ》が夏なら街路にはもう人の往来《ゆきゝ》もあろうし、こんな叫び声が聞えたら、あすこ、こゝの別荘から忽《たちま》ち多勢の人が飛んで来ようが、今は季節外れの十二月で、殊《こと》にこの別荘地帯は茅《ち》ヶ|崎《さき》でも早く開けた方で、古びた家が広々と庭を取って、ポツン/\と並んでいる上に、どれも之も揃って空家と来ている
次へ
全31ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
甲賀 三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング