んですか」
「それがね、可笑《おか》しいんですよ。今朝、茅ヶ崎の別荘の管理人から、小浜信造死んだ、遺族に通知頼むってね、私宛に電報が来たんです」
「へえ、どういう事ですか。それは」
「丁度、小浜さんがいましたから、その電報を見せると、カン/\に怒ってね、誰かの悪戯だといって、すぐ返電を打ちましたが、折返し警察から、すぐ来て貰いたいという電報が来ましたので、ブツ/\いいながら行かれました」
「どうしたという訳でしょうね」
「何かの間違いに極ってまさア。当人はピン/\しているんだから」
「可笑しいですなア」
「全く変なんですよ。昨日は一日茅ヶ崎の別荘で待ち呆《ぽ》けを食わされたといいますから」
「昨日も茅ヶ崎へ行かれたんですか」
「えゝ、誰かゞね、茅ヶ崎の別荘で会いたいというので朝から出掛けたんですよ。所が夕方まで待ってもやって来ないというので、小浜さんはプン/\しながら帰って来ました」
「何時頃お帰りでしたか」
「さア、九時半か、十時頃でしたろう」
 信造は昨日午後六時三分茅ヶ崎発の汽車で東京に向ってるから、真直ぐに帰れば八時過ぎにはアパートに着く筈である。途中で食事か何かの為に寄り道を
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