「僕だからまあ好かったけれども」
 庄司氏は後に人に語った。
「兎に角警官が五人もついていようと云う兇暴な奴のすぐ傍に着席させるちゅうのは、少し不都合だね、人に依っては、思う所を十分云えないかも知れんじゃないか。現に刑事には飛掛っているんだからね」
 支倉は庄司氏の顔を見ると異様な眼でジロッと一睨みしたが、つと横を向いて終った。
 庄司氏は裁判長の訊問の儘に臆する所なく、ズバ/\と信ずる所を披瀝した。
 支倉を検挙するに至った径路、死体其の他動かすべからざる証拠についての弁明、支倉の自白等について、証人は澱みなく答えた。殊に自白の場面のいかに荘重なりしか、彼と神戸牧師及彼の妻との間に交された会話等につき詳細に述べた。
 庄司氏が裁判長の訊問に答えているうちに、支倉はジリ/\と彼の方に詰め寄って、殆ど身体を接する位になった。警戒の巡査は支倉が乱暴を働く様子がないと見たか、別に止めようともせず、只遠巻きに眼を光らしていた。庄司氏はすぐ隣に接して支倉の息遣いを聞きながら、落着き払って裁判長に答弁をしていた。
「庄司さん、どうぞ本当の事を云って下さい」
 突如として支倉は脅迫の手紙の上に於
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