主任が取調べられた。この取調べも頗る詳細を極めている。ホンの一部を左に抜いて見よう。
問 被告は余り易々と自白しているようであるが、証拠をつきつけられて、余儀なくせられて自白したか。
答 井戸から出た死体を小林貞に相違ないと断定し、それは自殺であるか、他殺であるか。他殺とせば何者がしたのであるか、と云う事について、被告を訊問しますと、被告は貞に暴行を加え、淋毒を感染せしめ、先方から告訴をすると談じられて、漸く示談となり貞を引渡す事になりながら、遂に示談が整わなかったと云うような事実が判明しましたので、尚も捜索を続けると、丁度貞の行方不明になった前後に、支倉が貞と一緒に歩いているのを見たと云う者もあり、其人相は支倉に似ていると云うことでありましたから、支倉を訊問した所、兇行直前貞を連れて歩いていた事を自白致しました。
問 然し三月十八日の聴取書によると、被告は初めから自分のやった事ではない。土工に頼んで大連に売飛ばそうとしたと云っているが、此点はどうじゃ。
答 そうです。被告は最初には土工を頼み、貞を大連に売飛ばそうとしたと云って居りました。
問 其の翌日十九日の聴取書によると
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