髑髏を見せたではないか」
「私は知りません」
「髑髏を被告に突つけて嘗《なめ》て見ろと云ったではないか」
髑髏を嘗さしたではないかと云う能勢弁護士の詰問に、証人石子刑事は静かに答えた。
「誰か外の者がそう云う事を遣りましたかどうか知りませんが、私はやりません」
「ふむ、では証人はその骸骨を弄んだ事はないと云うのか」
「鑑定に持出すので、二、三度刑事部屋で弄んだ事はあります」
「それでは証人は被告が警察署で警官の前でいじっているのを見た事があるか」
「ありません」
「証人は被告を警察で打ったり蹴ったりして調べたではないか」
「そんな事は決してありません」
石子刑事の訊問は従来嘗て見ない程詳細に長時間に亘って試みられた。然し石子刑事は拷問の件は極力否認するし、それに何と云っても大島司法主任、根岸刑事の二人が既に死んでいるのが、支倉に取って不利だった。
この二人が生きて居れば別々に訊問して、答弁に前後矛盾した所があれば又何とか突っ込む方法もあったかも知れぬが、石子刑事の方でも都合が悪い所は二人のせいにして逃げて終うし、支倉の云い分は少しも通らない事になった。
石子刑事の次に佐藤司法
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