ぬ世話になり、彼の上願書にも「立派な牧師の調停により事ずみになった」旨を強調した程、恩義を感じていた神戸牧師に対し、あらゆる罵言を浴びせかけ、偽牧師と罵り、庄司署長と結託して彼を死地に陥れたと怨言を発し、果は恐ろしい呪いの言葉を吐きかけるに至った。
 この支倉が庄司署長と神戸牧師がぐるになって俺を陥れるのだと、呪いの言葉と共に叫び通したのは少しは理由がある。それは署長と牧師とはいずれも北国のある高等学校の出身で、尤も同級と云う程ではなく、神戸氏の方が先輩なのだが、在京同窓会などで、時々顔を合して、二人は満更知らぬ仲ではなかったのだ。
 それを聞き知った支倉は、神戸牧師が庄司署長を庇護する為に彼に不利益な証言をしたと怒号し出したのである。
 卑しくも人一人の生命に係る事を、高が高等学校を同じゅうした位の縁故で、法廷に於ける証言を、殊に牧師の身にある人が抂げると云う理由がない。支倉の僻《ひが》みだろうと思われる。
 所で同じ高等学校の出身と云う事について一寸面白い挿話があるからこゝに書いて置こう。
 支倉事件よりずっと後に、某省の官吏だった山田健と云う男が御用商人を野球用のバットで撲り殺し
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