倉の運命に重大影響を及ぼすのである。事柄が事柄だし、こんな迷惑な証人は恐らく他にないだろう。
神戸牧師はゴクンと喉の塊りを呑み込んで、下腹に力を入れながら、裁判長の顔を仰いだ。
裁判長は型通りの質問をした後きっとなって、証人と被告との関係を尋ねた。
神戸牧師は予審廷に於ける通り支倉との浅き交友を述べ、貞子の事につき、支倉と小林との間を調停するに至った事を述べた。
「支倉は貞との関係につき始めは中々秘して語りませんでしたが、遂に私の面前で恥且つ悔いながら逐一申述べました」
こう云って口を閉じると、神戸牧師はそのまゝむっつり黙り込んで終《しま》った。
裁判長はこゝぞと声を励ました。
「その時被告は証人に貞を暴力を用いて犯した事を自白したか」
此返辞は重大である。満廷固唾を呑んで牧師の身辺を凝視した。
支倉は終始一貫と云って好い程暴行凌辱を加えた事を否認している。彼は合意の末通じたものである事を主張しているのである。合意か暴力を用いたか、之は支倉の死命を制する問題だ。後に支倉は神戸牧師の予審廷以来の証言に深き憾《うら》みを抱き、後数年間彼は嘗ては師事し、貞子の事件には一方なら
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