連帯しなければならぬ事を忘れなかった。彼女は夫を寛容すると共に、世間にこの事の洩れないように、数々の苦心をしたのだった。
が、何事ぞ。夫は貞子を連れ出して古井戸に沈めて殺したと云うではないか。
神楽坂署で鬼のような刑事達に責め問われて、苦しい思いをしたけれども、そして夫に対していろ/\な悪評を聞いたけれども、彼女は尚夫を信ずる事を止めなかった。真逆そんな大罪を犯していようとは思えなかった。
署長の口から喜平がすっかり自白したと云う事を聞いた時に、彼女の総身の血汐は忽ち凝結して終った。危く倒れようとするのを踏み堪えた彼女の努力は殆ど超人的だった。
然し、彼女は署長から夫の自白を聞かされて、彼に面会を許されるまでに、すっかり冷静を取戻す事が出来た。彼女はすっかり覚悟を極めた。夫との間には既に一子がある。夫がいかに大悪人であっても、信仰の道に這入っている自分が今更に取乱すのは恥かしい、夫を慰め励まして後顧の憂えのないようにしよう。こう彼女は決心した。そうして彼女は懺悔の涙に濡れている夫の姿を、心静かに見上げる事が出来たのだった。
静子は作りつけの人形のように微動だにしないで考え続
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