からお前には話さなかったが、お前の所持金の内より十円お前の家内に下げてやっているのだ。それからお前の家に此間或者がお前から頼まれたと云って広告料印刷代として十一円を詐取しようとして来た者があったのだ。その時だってお前の家内を俺が助けてやって居るのだ。是程までに俺は御前の為に尽してやっているではないか。お前も男だろう背負って立てよ。お前も男だろう、宗教家だろう、背負って立てよ、背負って立ったなら、あれなるあの家屋をお前の妻子の所有にして此後共助けてやるからと呉々にも云われ、たのまれたのであります。
B、石子刑事より小生への依頼の件、
お前の宅へ行って俺が同行を求めた際に、お前が何と云う事なしに来ればよかったのに、お前の為に私は随分なっている筈だ。あの時だってお前の人格を私は思うたが為、殊更私はお前の家に私用名刺を通じていたではないか。それにも拘わらずお前が逃げたために、私は署長さんの前に顔向けが出来んのである。免職せなければならんように成っているのだ。お前は殺さずとも殺したとして立ってくれ。立ってくれゝばよいのだ。立ってくれさえすれば私が免職せずに済むのだ。お前は男だろう。宗教家だろう
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