辺刑事は怒号した。
「之は貴様の可愛がった女の髑髏だ。さあよく見ろ」
 渡辺刑事は髑髏をピタリと支倉の顔に押しつけた。
 支倉が何事か叫ぼうとすると、部屋の入口がガラリと開いて、ぬっと這入って来た人がある。
 それは庄司署長だった。
 署長は柔道で鍛え上げたガッシリとした長身をノッシ/\と運びながら、喜怒哀楽を色に現わさないと云う不得要領なボーッとした風で、何気なく刑事達に声をかけた。
「おい、どうしたい。未だ片はつかんのか」
「はい」
 石子は固くなりながら、
「未だ自白いたしません」
「そうか」
 彼は軽くうなずいたが、支倉の方を向いて、
「おい、君、未だ片がつかんそうじゃね」
 夜はもう余程更けている。花には未だ早いが折柄の春であり、宵のうちには一段の賑いを見せていた神楽坂の通りも、今は夜店もチラホラと通る人も稀であろう。風こそ吹かね、底冷えのする寒さは森々として身に染みる。火の気のない冷たい部屋で長時間続行訊問せられる支倉は身から出た錆とは云いながら憐である。
「おい、君、早く本当の事を云って終《しま》ったらどうだね」
 署長は黙っている支倉に促すように云った。
 支倉はじっと
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