に支倉の前ににじり寄った。

 夜は次第に更けて行く。
 こゝは浮世を外にした別世界。名を聞くさえ、気の弱い者は顫え上る刑事部屋である。髑髏を片手に支倉に迫った渡辺刑事の身辺からは正に一道の凄気が迸《ほとばし》った。
「支倉、貴様はいかに冷静を装って、知らぬ一点張りで通そうとしても、そうは行かぬぞ。貴様が何一つ疚しい所がないのなら、何故最初から堂々と出て来て云い開きをせぬ。逃げ廻ったと云うのが身に覚えのある証拠だ。それに、逃げ廻るさえあるのに、その間にした貴様の所業の数々は誰が見ても貴様は悪人とよりは思えぬ。その上、聖書の窃盗、放火、暴行傷害など歴然たる証拠が上っている。貴様は一番罪の重い殺人罪から逃れたいのだろうが、之も動きの取れない被害者の屍体の出た今日、どう云い開こうとしても詮ない事だ。貴様は何故この分り切った犯罪を一時も早く白状して、お上の慈悲を仰ごうとせぬのだ。貴様はどうあっても、この髑髏に覚えがないと云うのかっ」
 先刻からの続けざまの訊問に興奮して来た支倉は、独特の大きな濁声《だみごえ》で叫んだ。
「知らぬ、知らぬ、何と云われても知らぬ」
「知らぬ事があるものかっ」
 渡
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