しい」
根岸は満足そうにうなずいた。
「そう事が極まれば早速実行するとしよう」
浅田はほっと息をついた。
彼は漸く三日間の辛い責苦を逃れる事が出来たのだった。彼は支倉に対する義理立てと支倉の妻に対する愛着から、飽くまで強情を張り通して支倉の居所に関する事は口を開くまいと思ったけれども、刑事部屋での連日の執拗な訊問はほと/\彼の精根を尽きさした。それに根岸が彼が支倉の留守宅で支倉の妻に挑みかゝった事を、薄々知っているらしい口吻を洩らすので、流石の浅田もすっかり諦めて終《しま》って、根岸の云い放題になったのだった。
「じゃ渡辺君」
根岸は渡辺刑事を呼びかけた。
「君一つ浅田と一緒に行って、支倉から手紙が来るまで泊り込んでいて呉れないか」
「好し」
渡辺はうなずいた。
浅田は渡辺刑事に引立てるように促されて、渋々神楽坂署の門を出た。
留守宅ではお篠が夫が警察に留られて三日も帰って来ない所在なさを沁々《しみ/″\》味わいながら、しょんぼりとしていた。一時の腹立まぎれに警察へ追いやるような事をしたものゝ、日数が経つにつれて、お篠はやはり夫の事が思い出されるのだった。今日あたりはもう
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