配しなくても好いさ。いくら俺達だって、常識と云う事は心得ているからね」
「そんなら好うがす」
 浅田は大きくうなずいた,
「それで私は帰して呉れるでしょうね」
「さあ」
 根岸は気が進まないように答えた。
「君を帰すとすると手紙は直接君の手に這入るからね。支倉から来た分を隠される恐れがあるんでね」
「もうそんな事は決してしませんよ」
「うん、それもそうだろうが、こっちの方じゃ警戒しなければならんからね」
「じゃ、何ですか、云うだけ云わして置いて、帰して呉れないのですか。一体あなた方は約束と云うものを守らないのですか。あたたは始めに私を帰すと約束したではありませんか」
 浅田は気色ばんだ。
「そうむきにならなくっても帰すよ」
 根岸は静かに云った。
「だが条件がある」

「どう云う条件ですか」
 浅田は不安そうに聞き返した。
「何そうむずかしい事じゃない。刑事をね、一人君の宅《うち》へ泊り込ますのだ。そして郵便をその都度すっかり見せて貰う事にするのだ」
「随分辛い条件ですね」
 浅田は暫く考えていたが、
「仕方がありません。承知しました。そうしなければどうせ帰して貰えないのだから」
「宜
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