のさえ恐ろしいと云う風にブルッと顫えながら、
「京子さんと恐ろしい男と私と三人で、お酒を呑んでいたんです。そうしたら京子さんが急に顔色が紙のように白くなって、気持が悪いと云ったかと思うと、パッタリと斃《たお》れてしまったのです」
「ふむ。それから」
「私、びっくりして、キャッと声を揚げたんです。そうしたら、恐ろしい男は怖い顔をして私を睨んで、騒ぐと為にならないぞ。もし密告でもしたら、お前も同罪になるぞと云うんです」
「ふむ。それで」
「私は云いなりになるより他はなかったのです。恐ろしい男は私に手伝わして、死体を自動車に乗せて、自分で運転して鎌倉に運びました」
聞いているうちに、津村は頭がグラグラとして、あたりが暗くなるように感じた。
ああ、宮部京子を殺したのは、やはり星田だったのだ。彼は居合した京子の妹女優真弓を威かして、死体の遺棄を手伝わしたのだ。
津村に反して、村井は勢いを得ながら、
「じゃ、我々を博覧会場に誘《おび》き出して、更に鎌倉に行かせたのも、みんなその恐ろしい男の策略ですね」
「ええ」
「あなたもその手伝いをしたんですね。そんな事だろうと思った。ちょッ、星田の奴、自
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