殺人迷路
(連作探偵小説第十回)
甲賀三郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)卓子《テーブル》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)私|生命《いのち》は
[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)[#地付き](「探偵クラブ」一九三二年四月〜一九三三年四月)
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親友? 仇敵?
疑問の洋装の女が、三映キネマの如月真弓!
寺尾に示されたスチールで、それを発見した津村は唸った。
雑誌記者津村がこの発見をした時と殆ど同時に、新聞記者村井は二木検事に、洋装の女が投身自殺を遂げた浦部俊子の妹らしいと云う推測を告げていた事を、読者諸君は承知せられている筈だ。
以上の二つの事実によって、津村と村井がバッタリと、如月真弓のアパートの入口で、顔を合したのは、決して偶然でない事を、読者諸君はうなずかれるであろう。
両者は無言のまま、相手を探るようにして、いや、むしろ敵意を持って、じっと睨み合ったと云う方がいいだろう。
二人は事件の日以来会っていないのだ。事件のあった日の前までは、二人は親しい友人だった。記憶のいい読者諸君
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