た。
真先に口を切ったのは村井だった。
「如月さん、真弓さん、知っている事をすっかり話して下さい」
津村は続いて、
「如月さん、あなたは宮部京子を殺した男を知っているでしょう」
「ああ、あたし――」
真弓は両手で顔を伏せた。そうして、フラフラと倒れようとして、辛うじて床に蹲《うずく》まりながら、
「可哀そうな姉」と云って、忽《たちま》ち激しい啜《すす》り泣きを始めた。村井はうなずいて、
「ああ、やっぱり、あなたは俊子さんの仇《あだ》を打ったのですね」
「え、え」津村は驚いて、「俊子とは、じゃ、真弓さんは」
「なくなった浦部俊子の妹さんさ。君はそれを知らなかったのかい」
「知らなかった。俊子さんの妹?」
津村は改めて真弓の姿を見守った。
村井はやや得意そうに、
「僕の推測は誤らなかった。真弓さんは姉さんの復讐をしたんだよ」
と、突然、真弓は顔を上げた。
「違います、違います。私は姉の仇を討とうと思って、そ、それが出来なかったんです」
甲高《かんだか》い声でこう叫ぶと、彼女は再び激しい泣きじゃくりを始めた。
恐ろしい男
津村と村井はちょっと顔を見合したが、直ぐに右
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