るのは何故か、という事なんでしょう」
「それと前の言葉とどういう関係があるんですか」
「分りません」
「ふん」
 署長は仕方がないという風にうなずいた。
 私は訊いた。
「一体なんです。之は」
「毛沼博士の寝室で発見されたんです」
「へえ」
 意外だったが、意外というだけで、それ以上の考えは出なかった。それよりも、今まで肝腎の事を少しも分らせないで、散々尋問された事に気がついたのだった。私は最早猶予が出来なかった。
「毛沼博士はどうして死んだんですか」
「瓦斯の中毒ですよ。ストーブ管がどうしてか外れたんですね。部屋中に瓦斯が充満していてね、今朝八時頃に漸く発見されたのです」
「過失ですか。博士の」
「まあ、そうでしょうね。部屋の扉が内側から鍵がかかっていましたからね」
「じゃ、博士が管を蹴飛ばしでもしたんでしょうか。私が出た時には、確かについていましたから」
「そうです。博士が少くても一度起きたという事は確かですから。鍵を掛ける時にですね」
「八時までも気がつかなかったのはどういうものでしょう」
「休日ですからね。それに前夜遅かったし、グッスリ寝ていたんでしょう」
 説明を聞くと、十分
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