黄鳥の嘆き
――二川家殺人事件
甲賀三郎
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)敵《かな》わない
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)面白|可笑《おか》しく
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
[#…]:返り点
(例)以[#レ]毒
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)しげ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
一
秘密の上にも秘密にやった事だったが、新聞記者にかゝっちゃ敵《かな》わない、すぐ嗅ぎつけられて終《しま》った。
子爵《ししゃく》二川重明《ふたがわしげあき》が、乗鞍岳《のりくらたけ》の飛騨側の頂上近い数百町歩の土地を買占めただけなら兎《と》に角《かく》、そこの大雪渓《だいせっけい》を人夫数十人を使って掘り始めたというのだからニュース・ヴァリュ百パーセントである。
二川家は子爵の肩書が示している通り、大名としては六七万石の小さい方だったが、旧幕時代には裕福《ゆうふく》だった上に、明治になってからも貨殖《かし
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