いまひとたびは未練で眺め
さりげなく手を拍きつつ
路の上《へ》を走りてくれば
(暮れのこる空よ!)
わが家へと入りてみれば
なごやかにうちまじりつつ
秋の日の夕陽の丘か炊煙か
われを暈《くる》めかすもののあり
古き代の富みし館《やかた》の
カドリール ゆらゆるスカーツ
カドリール ゆらゆるスカーツ
何時の日か絶えんとはする カドリール!
秋の夜空
これはまあ、おにぎはしい、
みんなてんでなことをいふ
それでもつれぬみやびさよ
いづれ揃つて夫人たち。
下界は秋の夜といふに
上天界のにぎはしさ。
すべすべしてゐる床《ゆか》の上、
金のカンテラ点《つ》いてゐる。
小さな頭、長い裳裾《すそ》、
椅子は一つもないのです。
下界は秋の夜といふに
上天界のあかるさよ。
ほんのりあかるい上天界
遐《とほ》き昔の影祭、
しづかなしづかな賑はしさ
上天界の夜《よる》の宴。
私は下界で見てゐたが、
知らないあひだに退散した。
宿 酔
朝、鈍い日が照つてて
風があ
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