トる
口なき馴染みのかの水※[#「虫+息」、118−10]《ヒイドル》。
※[#ローマ数字3、1−13−23]
仲間
おい、酒は浜辺に
浪をなし!
ピリツとくる奴、苦味酒《ビットル》は
山の上から流れ出す!
どうだい、手に入れようではないか、
緑柱めでたきかのアプサン宮《きう》……
小生。――なにがなにやらもう分らんぞ。
ひどく酔つたが、勘免[#「免」に「ママ」の注記]しろい。
俺は好きだぞ、随分好きだ、
池に漬つて腐るのは、
あの気味悪い苔水の下
漂ふ丸太のそのそばで。
※[#ローマ数字4、1−13−24]
哀れな空想
恐らくはとある夕べが俺を待つ
或る古都で。
その時こそは徐《(しづ)》かに飲まう
満足をして死んでもゆかう、
たゞそれまでの辛抱だ!
もしも俺の不運も終焉《をは》り、
お金が手に入ることでもあつたら、
その時はどつちにしたものだらう?
北か、それとも葡萄の国か?……
――まあまあ今からそんなこと、
空想したつてはじまらぬ。
仮りに俺がだ、昔流儀の
旅行家様になつたとこ
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