ォを、
月々に流されるかの血液の過剰の如く、
汝《なれ》は我等に返報《むく》ゆなり、おゝ汝、悪意なき夜よ。
★
一度女がかの恐惶《(きようくわう)》、愛の神、
生の呼び声、行為の歌に駆り立てられるや、
緑の美神《ミューズ》と正義の神は顕れて
そが厳めしき制縛もて彼を引裂くのであつた!
絶えず/\壮観と、静謐《(せいひつ)》に渇する彼は、
かの執念の姉妹《あねいもと》には見棄てられ、
やさしさ籠めて愚痴を呟き、巧者にも
花咲く自然に血の出る額を彼は与へるのであつた。
だが冷厳の錬金術、神学的な研鑚は
傷付いた彼、この倨傲なる学徒には不向きであつた。
狂暴な孤独はかくて彼の上をのそりのそりと歩き廻つた。
かゝる時、まこと爽かに、いつかは彼も験《な》めるべき
死の忌はしさの影だになく、真理の夜々の空にみる
かの夢とかの壮麗な逍遥は、彼の想ひに現れて、
その魂に病む四肢に、呼び覚まされるは
神秘な死、それよやさしき妹《いも》なるよ!
[#改ページ]
最初の聖体拝受
※[#ローマ数字1、1−13−21]
それあもう愚劣なものだ、村の教会なぞといふものは
其
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