《かえる》のように自由に臓腑を取り出す事が出来たら如何に便利な事かと思う、そして水道の水で洗濯《せんたく》してちょっとした破れは妻君《さいくん》に縫わせて、もとへ収め込むという風にしたいものだ。
私の胃病は医者の説によると、胃のアトニーというもので、胃の筋肉が無力となって、いつも居眠りをしているのだそうだ。一種のサボタージュだと見ていい、胃がサボタージュを起しているのだから、第一に、食慾が起って来ないのだ、私が学校時代はこの胃が最も猛烈にサボっていたものだ、下宿で食べた朝食は、昼になっても晩になっても、停滞しているのだから堪《たま》らない、しかし考え方によると頗《すこぶ》る経済でいいともいえるかも知れないが腹はすかなくとも衰弱はどしどしとするから全くやり切れた話しではないのである。
学校の門を出た処に一銭で動く自動計量器があった、私はある日衰弱した体躯《たいく》をばこの機械の上へ運んだ、そして一銭を投げ込んで驚いた、私は帽子を冠って冬服を着て靴を履《は》いて、手に風呂敷包《ふろしきづつみ》を持って、肩には絵具箱をかついで、しかして何んとその針は十貫目を指《さ》してピタリと止《とま
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